「研究で、こんなに変わるんですね」と言われた出来事
「研究って難しそう」「私にできるのかな?」と思っていた
看護研究の支援をしている私も、もともとは「研究=苦行」だと思っていました。
「何をやればいいの?」「どう進めたらいいの?」「文献検索すらできない……」「誰か教えて……」
そんな気持ちでスタートしたけれど、今なら言えます。
研究は、“やらされるもの”じゃない。
研究は、“変化のきっかけ”になる。
現場がちょっと変わった。研究があったから。
ある介護士さんの言葉が忘れられません。
「他の病棟のスタッフは、患者に興味がないんじゃないかと思っていた」
他の病棟スタッフのモチベーションが低いと感じていたそうです。
でも、研究の一環で「週1回10分、ペアの看護師と介護士で話す」ミーティングを始めました。
すると、見えてきたのは違う景色でした。
- 実は他のスタッフも患者に関心があった
- でも「何を共有すればいいか」「どう伝えればいいか」がわからなかった
- 話すうちに「介護士の方が聞きやすい情報」も見つかった
- 「できていなかった」と自分のケアを省みる言葉も出てきた
研究というツールを使って、
- 視点が増え、
- お互いを理解し、
- 病棟の空気まで変わった。
研究でここまで変わるなんて、私も驚きました。
「よくなった」を、ちゃんと“見える化”した看護師さんも
もう一人、こんな看護師さんがいます。
それまで医師が担当していたCVポート穿刺。
それを看護師が担うようになったことで、「患者さんの待ち時間が減った気がする」と感じていました。
でも、感覚じゃなくて、ちゃんと示したい。
そう考えたこの看護師さんは、外来患者さんのカルテから待ち時間をデータ化。
統計手法を使って分析したところ──
- 平均5分以上 待ち時間が短縮
- ばらつき も大きく減少
さらに、看護師・医師にもアンケートを実施。
- 看護師の多くが「モチベーションが上がった」
- 医師も「自分の業務に集中できるようになった」と回答
結果だけじゃなく、課題も見えました。
「もっとこうしたい」が見えてきた
それは、周囲の声を聞く姿勢があったから。
研究で見えてきたことは、
- 患者さんの利益
- チーム全体の働きやすさ
- 看護師自身の「もっとやれる」可能性
研究は“特別な誰か”のものじゃない
研究って、なにか特別な人がやるもの。 そんなイメージがあるかもしれません。
でも、今回のような実践から生まれる研究は、
“今、目の前の看護”から始められるもの。
完璧なテーマじゃなくてもいい。
誰かの役に立ちたい、もっとよくしたい。
その気持ちがあれば、最初の一歩は踏み出せます。
「やってみたい」と思ったら
「もう少し研究について知りたい」「自分でもできるか不安」 そんな方に向けて、いろんな支援をしています。
あなたの「やってみたい」を、少しずつ形にしていきましょう。
看護学博士。臨床経験5年、研究歴10年以上。
現在は看護師さんの看護研究を支援する「Medi.Ns.Lab.」を運営し、初心者の方にもわかりやすいサポートを心がけています。
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